切り返し   


 
  
   掃除をさぼっている子を見つけました。
   どうしますか?
  
  「何やってるの。今掃除の時間でしょう」
   このようにいう人はいませんか。
   効果があるのはそのときだけ。
   見ていなければ、さぼります。
   1年間同じことが続くでしょう。
  
  「じゃあ、注意しなくていいんですか」
   そういう問題ではありません。
   直接、注意しても、問題は解決しません。
   子どもの意識は、注意されたことにいってしまいます。
   掃除をやらなかったことにいきません。
  
   教師がその子のかわりに掃除をしたらどうでしょう。
  「今日は、調子が悪いの?先生がかわりにするから」
   笑顔でいいましょう。
   教師が掃除をはじめます。
   たいていの場合、子どもも掃除をはじめます。
   
   その子が、ちゃんと掃除をすればいいのです。
   「注意すればさぼらなくなる」というのは幻想です。
  
  
  「○○君ちゃんとやってくれないんです。さぼっています」
   注意してほしいといいにくる子がいます。
   こんなときどうしますか。
  
   いいにくる子は、自分はちゃんとやっていることを認めてほし
  いのです。
  
   さぼっている子をおとしめて、自分を認めさせようという意識
  が働いています。
   もちろん、無意識のうちにです。
   ですから、それにのってしまうと、ますます告げ口にくるよう
  になります。
  そこで、次のように切り返します。
  「そういうあなたも、今、掃除をしていませんよ」
  「えっ?」
  「あなたも、掃除をさぼっていることになりませんか」
  「……」
   ショックでしょう。
   いいことをしたつもりが、逆のことをいわれてしまったのです
  から。
  
   叱ったり注意したりしているとき、教師も子どもも、掃除をし
  ていないのです。
   掃除の時間なのに…
   本来の目的を忘れてしまうのです。
   
   ですから、同じことをくり返すのです。
   1年間、変わらないのです。

   相手を揺さぶるのが、切り返しです。
   一瞬の切り返し 


   切り返しはユーモアで
   
   補教にいったときのことです。
   ある子が冷やかされていました。
   寝ぐせで、髪の毛が立っているのです。
   それも半端な立ち方ではありません。
  「髪の毛が立ってるー」」
  「恥ずかしくないのかよ」
   まわりの子が、はやしたてます。
   その子は、顔を真っ赤にして黙っています。
   今にも泣き出しそうです。
  「やーい」
   かばう子がいません。
   そこで一言。
  「○○君、すごい。髪が立ってる!」
  「髪の毛の先まで氣が入ってる!」
   爆笑。
  「すごい氣だ!」
  「先生、何いってるの」
  「寝ぐせだよ」
  「そうだよ」
  「違います!」
  「やる氣がある子は、髪の毛が立つんですよ」
  「さあ、みんなも氣を入れよう!」
   
   冷やかした子も にこにこ。
   寝ぐせの子も にこにこ。
  
   教室の雰囲氣が一変しました。
  
   切り返しは、ユーモアで。
  
  
  

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