認識の授業
 
 
  認識の授業

 杉渕実践には、「基礎」・追究・表現の授業があります。
 新たに創ったのが 「認識」の授業です。
 ある意味では、実践の中核です。

 イメージ的には、授業のまとめに近いです。
 しかし、まとめとは一線を画しています。
 授業として独立している点が違います。

 「認識」とはどんな授業なのでしょうか。

 特長
  力の定着
  情報の交換・交流
  確かめ(チェック)
  つなぎ
   教科と教科をつなぐ
   他の活動につなぐ
 私の提唱する波及学習の大黒柱です。
   
 例
  体育(ミニサッカー)ゲームの後のミーティング
  理科……実験後
  社会(プレゼンテーション)後
  
 内容
 テーマを決めて
  「どうしたらパスをつなげるか」
  「男子VS女子、男子VS男子の違い」
  「工夫したこと」
  「教室をきれいにするためにはどうしたらいいか」
  「作文で、長く書くこつ」
  
 反省とも違います。
 まとめとも違います。
 ミーティングに近い…しかし、もっと意識的なものです。
 
 効果
 一人の氣づきが活きる。
 一人の良さがみんなに広がる。
 共通の基盤を作ることができる。
 
 反省はどうしてもマイナス思考になりがちです。
 あまり効果がありません。
 もっとも顕著な例は、学校評価でしょう(笑)
 あれだけ念入りに反省しているにもかかわらず、学校がよくならないのはどうしてでしょうね。
 やってもほとんど意味がありません(今のままでは)。

 授業のまとめは教師の自己満足に陥りやすいと思います。

 そこで考え出したのが「認識」の授業なのです。
(※今は、「考える力を育てる」授業ということもあります9
 
 (例)
 ○自問清掃
   自問清掃
  *ミーティング
    工夫したことを発表する。
    自分の発見を発表する。
 
 ○プレゼンテーション(社会の発表)
  プレゼンテーション
  *評価
    よい点を発表する。
    こうしたらもっとよくなる点を発表する。
    
 ○*『認識』の授業(理科 カルメ焼き)
    「カルメ焼きを成功させる条件」
 
 一つひとつの活動の意味を探るのです。
 
 
 
 ◆認識の授業

 現在、認識の授業を徹底的にやっています。物の見方、考え方
一歩つっこんだ見方など、教えているという感じです。
 今日は、プレゼンテーションの発表がよかったので、それを取
り上げました。
 どこがよかったか
   本物の珊瑚を持ってきたのがよかった
        ↓         
     どうして本物だといいのか
        ↓
  (例)本物だと重さがわかる
     さわってみることができる(かたい)
     細かいところまでわかる(穴があいている)

   珊瑚をまわして見せた(班ごとに)のがよかった
        ↓
    一人ひとりさわってみることができたのでよくわかった


 暗記してきたのがよかった

 というように、つっこんで考えさせました。

 このへんができてくると、実力が飛躍的に伸びます。


 認識の授業、本格的に始めました。「よかったです」で終わっ
ていたところをつっこんでいます。
 大きなヒントは、高木氏の「オーケストラ指揮法」にあります。
 自問自答です。
 わかっていると思っていることをつっこんで考えると、わから
なくなることがあります。

 終業式、子どもが「先生、道具箱を持ち帰っていいですか」と
聞いてきました。
「持ち帰ってどうするの?」
 私の問いにすぐ答えられた子はほんのわずかです。こんなこと
すら、何も(?)考えないで行動しているのです。活動の意味が
わかっていないのです。
 意味を考える これが認識の授業です。

 一つ一つの意味を考えさせています。
 これってとても大切なことだと思うのです。

 
  子どもたちの意識
 
  認識の授業は、子どもたちを確実に変えていきます。
  この稿では、子どもたちのノートを紹介したいと思います。

  1
00マス計算のコツ

 今日、ぼくは、100マス計算のたし算が速くできた。
 理由は、1段1段やり方を変えてやったから。

 0の段は、横だけを見てその数字を入れた。
 1の段は、すぐに+1をした。
 2の段は、下(次の問題)をいつも見ている。
 3の段も、下を見ている。
 4の段も、下を見ている。
 5の段は、1がきたら6,2がきたら7とわかっている。
 6の段は、下を見てやった。
 7の段は、8がきたら15とか、覚えている。
 8の段は、下をいつも見ていた。
 9の段は、5がきたら−1をして、その1を十の位から借りた。

 1段1段やり方(自分にいいやり方)を考える。

 ※すべて同じやり方でやらないということでしょうね。
  同じ記述もありますが、この子の中では、微妙に違っていると思われます。

 ぼくは、100マス計算で、あるコツを見つけました。
 それは、先を見るということです。
 1つの問題を考えて、その答えを書いている間に、もう次の問題を見て、答えを考えておきます。
 そうすると、どんどんテンポよく進んで、とてもやりやすくなります。
 すごいときに、頭の回転が速くて、ハンドスピードがそれについてきないときもあります。
 これは、掃除の前に準備をしたり、サッカーの前にアップやストレッチをしておくのと同じだと思います。
 1分切るぞ!!

 ※先ほどの子より、絞り込んで書いています。
  これは、音読のコツと同じですね。
  「先を読む」これは、行動のコツでもあります。
  一流選手のプレーはスピードがあります。
  ここでいうスピードとは、フィジカル面ではありません。
  頭の回転の速さなのです。


 私と葉月さんは、朝早く学校にきて100マス計算をやりました。
 朝やった方が頭にはいると思ったからです。
 私は、かけ算よりたし算ができます。
 だから、昨日はかけ算が2分切れませんでした。しかし、今日はギリギリだけ
ど2分を切ったのです。
 記録は、1分55秒です。練習したときは、1分47秒でした。
 まぐれかもしれないので、また練習します。
 ちなみにたし算は、なんと、1分11秒だったのです。
 本当です。
 すごいと自分でも思いました。
 かけ算もどんどん練習してたし算くらいにしたいです。

 ※私は、7時くらいに学校に行きます。
 少し仕事をしたあと、学校の掃除をし
 ます。7時半くらいでしょうか。
 掃除を始めようかな というときに、この子たちは来るのです。
 朝、計算の練習をしているのです。
 速い子ほど努力する これは、どの世界でも共通していますね。
 四の五のいわないで練習しろ ということでしょう。
 数をかける ということでもあります。
 「先を読んで」練習しているともいえましょう。

 表現読み

  
一つの言葉で何個も見つける       6年     まーい

「このぶんじゃあ、今日一日はふぶくだよ。もしも沼の原があっても、あしたにの
ばさっしゃい。〜」

 「このぶんじゃあ
 ・空を見る。
 ・源さんをじっと見る。
 ・ちょっとあきれる。
 ・目線を左右によせる。
 ・ちょっとため息が入っている。
 ・まゆ毛を下げる。
 ・心配そうな声を出す。
 ・ちょっとおこる。
 ・まゆ毛をあげる。
 ・雪を見る。
 「今日一日は」
 ・自信を持っていう。
 ・止めようとする。
 ・まゆ毛を下げる。
 ・長年のことだからよくわかる。
 「ふぶくだよ」
 ・源さんを見つめる。
 ・ずっと外を見る。
 ・ちょっとあきれも入れる。
 ・源さんと目を合わせる。
 ・心配する。
「もしも沼の原があっても、」
 ・おねがいする。
 ・源さんをよく見る。
 ・全部一気に読み切る。
 ・まゆ毛を下げる。
 ・さーっと読んじゃってもいい。
 ・ねーとかもまぜてみる。
 ・もーとかのばしてみる。
 ・やさしい顔でいう。
 ・「ふぶく」で源さんの顔をを見たらそのまま読む。
 「あしたにの ばさっしゃい。〜」
 ・心配する。
 ・どうせという心が入っている。
 ・ため息まじり。
 ・ねっ、ほらっていってもいい。
 ・「今日は〜」まぜて外を見る。
 ・まゆ毛はふつう。
 ・今日はやめてほしい。
 ・ちょっと怒って説得する。
 ・源さんは、はいはいって聞く。
 ・源さんをよく見る。

 1つの言葉で、いろいろ読み方を考えてみた。

 (家庭学習ノートより)
 

  「分数と小数の計算」  
    
                            6年  Sくん

      1          1
   3 ー ×0.75 ÷2ー     
      3           7

   
 1 分数と小数のまじった式。
 2 かけ・わり算のまじった式。
 3 このままではできないので、小数を分数にします。
 4 小数を分数にするため、小数点を2つ右にずらします。
 5 100倍したことになります。
 6 100倍したので、75になります。
 7 整数にするのに100倍したので、100でわります。
 8 式は、75÷100になります。
 9 答えは、100分の75になります。
10 これhあ、25で100分の75をわって小さくすることができます。
11 式は、3と3分の1×4分の3×2と7分の1になります。
12 最初に3と3分の1×4分の3をやります。
14 (3ついっしょにやるとむずかしいので)
15 3と3分の1を仮分数になおします。
16 3分の10になります。
17 式は3分の10×4分の3になります。
18 分数どうしのかけ算は、分母どうし、分子どうしをかけます。
19 約分できるところは約分して、小さくします。
20 約分は、ななめにしかできません。
21 例 3分の2と4分の6がは、2と4、3と6でやります。
22 例の続き。約分すると、1分の1と2分の2になります。
23 これは、3分の10×4分の3なので、3と3が約分できます。
24 10と4は、2で約分することができます。
25 3と3は、1と1になります。
26 10と4は、5と2になります。
27 式は、1分の5×2分の1になります。
28 分母どうしをかけ、1×2で、分母は2になります。
29 分子どうしをかけ、5×1で、分子は5になります。
30 答えは、2分の5になります。
31 次は、2分の5を2と7分の1でわります。
32 2と7分の1を仮分数になおして、7分の15にします。
33 しかし、これは分数のわり算なので、わる方を逆数にします。
34 逆数とは、かけて1になる式です。
35 つまり、7分の15の分子と分母を入れかえます。
36 7分の15の場合、15分の7になります。
37 式は、2分の5×15分の7になります。
38 5と15が約分できるので、5でわります。
39 5でわって、1と3になります。
40 式は、2分の1×3分の7になります。
41 分数どうしのかけ算なので、分母どうし、分子どうしをかけます。
42 答えは、6分の7,または1と6分の1になります。
43 分母どうしをかけて6になります。
44 答えは、6分の7または、1と6分の1になります。
45 この問題のポイントは、約分、逆数、小数を分数にすることです。

  (家庭学習ノートより)

 「話を聞く」    
                  6年  Nさん

 1 話している人の顔を見る。
 2 手いたずらとかしないで聞く。
 3 人が話しているときに書いたりしない。
 4 髪をいじったりしないで聞く。
 5 話している人だけを見る。
 6 まわりは関係ない。
 7 耳で聞く。
 8 目で聞く。
 9 頭で聞く。
10 口で聞く。
11 体中、全部で聞く。
12 その人だけに集中して聞く。
13 目を見る。
14 口を見る。
15 考えながら聞く。
16 パッパッと向く。
17 鉛筆を置く。
18 意味を考える。
19 一つひとつ覚える。
20 一つ聞いてから、書く。
21 自分の意見にするために聞く。
22 ヒントをもらう。
23 次にいう自信をつける。
24 人の意見から見つける。
25 わかるようにいうため。
26 目を合わせて聞く。
27 次にいっている人を、パッと見る。
28 次は、自分がいうぞと思うため。
29 先生もパッと見る。
30 先生の話は、よくわかる。
31 いえる意見をくれる。
32 スッと見る。
33 シャキっと見る。
34 パッと見る。
35 のろのろ見ない。
36 だらだら見ない。
37 ボーっと見ない。
38 だらーっと見ない。
39 のろーっと見ない。
40 目をちゃんと開ける。
41 ジローっと見ない。
42 きょろきょろ見ない。
43 目を止める。
44 その人だけ。
45 一点を見る感じ。
46 そんな感じで見る。
47 いっている人がまわりを見ているから、自分たちのほうを見ているときに見る。
48 そのときは、しゃべらない。
49 全体を見る。
50 目線をあまりそらさない。何のために?
51 自分の意見にしちゃうため。
52 まねするため。
53 ヒントをもらうため。
54 次にいう自信をつけるため。
55 人の意見で見つけるため。
56 わかるようにいうため。
57 わかりやすくいうため。
58 次は自分がいうぞと思うため。
59 はずかしがらないため。
60 ヒントをあげるため。
61 前の人がいったあと、ちょっと変えていって見るため。
62 それは、ちょっと上になるため。
63 前にいった人のまねをするため。
64 自分の意見として、どうどうというため。
65 自分の次の人のため。
66 いいパスを与えるため。
67 自分のため。
68 まねしただけでも一つの意見になるから。
69 それを続ければいいから。
70 みんなにもよくなるから。
71 意見をいえない人のため。
72 まねさせればいいから。
73 ちょっと変えるだけでもいえるから。
74 いえる人のため。
75 マトメをいってもらうため。
76 しめをしっかりしてもらえるように。
77 難しい意見の人が全員いえるように。
78 難しい意見がいえる人は、簡単な意見もいえるから。
79 また、簡単な意見の人にもどるため。
80 だから、みんなんのため。
81 いっている人
   いっている人は、次に活かそう。
82 いいパスを出そう。
83 いい意見をいおう。
84 これでつなげよう。
85 これでつながる。
86 簡単な意見をいおう。
87 やさしい意見をいおう。
88 ちょっと難しいのをいおう。
89 いいパスだ。
90 難しいのをいえるときだ。
91 やさしいのがいえるときだ。
92 まねをしよう。
93 今いおう。
94 ちょっと変えてみよう。
95 自分の意見をいおう。
96 チャンスだ。
97 最初にいおう。
98 あとでいおう。
99 切れたからいおう。
100 つながってるからいおう。

 ※わずか一文から、たくさんのことが考えられますね。

 総合 『認識の授業』
 
 「態度を変える(が変わる)理由」

 発端は、昨日の委員会。
 放送委員の子が、ちゃんとやっていなかった。
 放課後、私が指導する。
 そうすると、ちゃんとやるのである。
 あまりに態度が違うので、担当の先生がびっくりしていた。

 そろそろ、担任がいなくてもできるようにしたい。
 そこで、指導したのである。
 「杉渕先生はこわいから、ちゃんとやる」
 「やさしい先生は、怒らないからふざける」
 などと書く子もいた。

 なんたる意識の低さ…
 1から教えなければ。

 語る。
「君たちが考える『やさしさ』って、悪いことをしても叱らないことですか」
「君たちが悪いことをしても、お父さん、お母さんが叱らなかったら…」
「そのお父さん、お母さんは、やさしいんですか」
「…」
「それって、やさしいというのとは違うんじゃないの?」
「…」

「中田選手、イチロー選手は、コーチが見ていなかったらさぼるのかな?」

 などなど、その子に合わせて言葉をかける。

「ぼくは、本当のやさしさがわかっていませんでした」
「初めて知りました」
 
 この後、例を出す。

 ある国の子どもたち、学校を地域をすごくきれいにしている。
「どうして、そんなにきれいにするの?」
「だって○○だもの」
 さて、その子はなんと答えたか。

 A、B2つの国がある。
 どちらとも、大変きれいである。
 A国は、ごみを捨てると3万円の罰金。
 だから、みんなごみを捨てない。
 B国は、みんなで自分の国をきれいにしている。
 自分たちの国をもっとよくしよう。
 外国の人たちにも、もっときてもらえるように、きれいにしよう。
 そうおもってきれいにしている。

「同じきれいでも、違うでしょう」(この課題については、2学期の道徳公開講座で扱う)

「A国、罰金がなくなったら、どうなると思いますか」


 放課後、女の子2人がやってきた。
「先生、ゴミ袋ください」
「今日、村のごみを拾おうと思うんです」

「せーんせ」
 4時ころ2人が学校にきた。
 サンタクロースのように、袋を背負って。
 ひとりは、燃えるごみ袋、ひとりは燃えないごみ袋である。
「たくさん拾ってくれたね。どうもありがとう」
「もう少し拾いたいので、もう1枚袋をください」
 ふたりは、再びごみ拾いの旅に出るのであった。

 私の話を聴いて、すぐに行動してくれたことをうれしく思う。


総合 「考える力」 ラッキーバンク
 季節はずれのサンタクロースの話。
  
 ◆行動の背後にあるもの
 A ごみが落ちていても氣づかない。
 B ごみに氣づくが、拾わない。
 C 氣づいて、ごみを拾う。

 それぞれについて、考えさせる。

 6年生になって 1学期の成長 クラス編 
 ・10マス、100マス計算が速くなった。
 ・音読、歌の声が大きくなった。
 ・リコーダーが
 ・ノートの使い方がきれいになった。
 ・イニシアチブをするようになった。
 ・掃除をするようになった。
 ・ごみを拾うようになった。

 
 
 

 

  

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