見たこと作文 |
たんぽぽの秘密 4年生 子どもたちに、見たこと作文を書かせています。見たこと、考えたことを書く作文です。 「ふつうの作文とどう違うの?」 子どもたちはいいました。 そうですね。どこが違うのでしょうか。 ふつうの作文は、思い出して書きます。 「えーっと、あのときどうだったかな?」 よく覚えていないとアウトです。記憶力の勝負(?)になりやすいのです。 これに対して見たこと作文は、現在進行形の作文です。たとえば、実況中継のようなものです。 見たことを書くのです。「えーっと、どうだったかな?」よくわからなかったら、また、見に行けばいいのです。または、ノートをそこに持っていき、見ながら書いてもいいのです。
☆朝とじているたんぽぽを見つけました。大発見をしました。 朝は開いているはずなのに、どうして閉じているのでしょう.
☆しょーたくんの作文と関係あります。ひろくんは、「朝でも早い時間だとたんぽぽは閉じている」ことを見つけました。 朝、昼、夜と1日3回も見ているのがいいですね。
☆例をあげています。すばらしい。その例が、またまたすばらしいですね。
☆くきの色、くきの長さに目を向けました。目のつけどころがいいですね。 くきの色では、上のほうと下のほうでは色が違うことを発見しました。 くきの長さでは、どうして長さが違うのか 予想しています。
☆根っこを調べてみるとおもしろいですよ。色の違いに目を向けましたね。 自分の考えを書いているのもいいですね。
☆わた毛の研究をしました。これも、調べるとおもしろいでしょうね。 よく見ています。 見たこと作文を書く子がふえてきました。 けっこうよく見ています。 おもしろいです。 これから、茎、葉、根っこについての作文もふえていくでしょう。 「先生、たんぽぽについて書きたいんだけど、どこにもないよ」 「あるよ。おらといっしょにいこう」 子どもたちどうしで交流が始まっています。 調べれば調べるほどおもしろくなります。 新たな発見があります。 いろいろなことがわかってきます。 ここで問題です。
早速、こーじくんが調べてきました。
☆すぐに予想して調べたのがすばらしいですね。 さすが、おばあさん。よく知っていますね。ご協力ありがとうございま した。 こーじくんは、次の日も作文を書いてきました。
☆根っこも食べられることがわかりました。 私が知っているのは、たんぽぽの根っこからつくった○○○○です。飲み物です。さあ、なんでしょうか。 きんぴらにして食べるとは知りませんでした。 こーじくんのようにすぐに調べる、 続けて調べるって大切ですね。 雨の日はどうしているか 子どもたちは、様々か角度から見たこと作文を書いてきます。 同じ問題意識を持っている子もいます。 今回のテーマは、「雨の日のたんぽぽ」です。 「夜になるとたんぽぽは閉じる」これは、子どもたちの調査で明らかになりました。 結論は「閉じる」です。 「夜といっても、夕方から閉じると思う」 るいくんの発言で、授業が盛り上がりました。 そうです。ただ「夜」といってしまうと、それで終わってしまいます。わかったつもりで終わってしまいます。 ちょっと考えると、夜がいくつかに分けられることがわかります。 たとえば、夕方、宵の口、夜中、真夜中など。 るいくんの切れがある発言によって、子どもたちは、一歩つっこんで考えることができました。 今回はどうでしょうか。 ある子が、「たんぽぽは、雨の日は閉じている」といいました。 「私もそう思います」 「私がこの前見たら閉じていました」(体験に基づく意見) 「教科書に『雨の日は閉じる』と書いてあるから閉じると思います」(権威に基づく意見) 「えーっ、わかんないよー」(正直なところ) 「見たことがないからわかりません」(これまた、正直なところ) 追究するのにもタイプがあります。 1 書斎派 2 フィールドワーク派 書斎派は、まず教科書、参考書、図鑑などを調べます。知識優先のタイプです。 フィールドワーク派は、まずは見に行きます。「百聞は一見にしかず」を地でいく体験重視タイプです。 書斎派派、答えを早く知ろうとします。フィールドワーク派派、早く確かめようとします。 子どもは2つの面を持っています。どちらか1つということはありません。 「教科書に書いてあるよ」 という言葉で、多くの子が動きました。 「ちょっと待ってよ、本当にそうなの。確かめもしないで信じていいんですか」 こんな経過で、調べ始めたのです。 6月5日の作文を見てみましょう。
花、わた毛どちらのくきが長い たんぽぽのくきの長さを問題にしました。 サークルで、たんぽぽのくきを張りつけたものを持ってきた人がいました。中嶋先生は、クラスの子どもたちの作文とともに実物を持ってきたのです。 びっくりしました。 なんと、1m45pもあったのです。 「えーっ、こんなに長いくき見たことない!」 参加者全員驚きました。 国分寺のほうで見つけた(中嶋先生のクラスの子が見つけた)そうです。 私が住んでいた、板橋では、最高で1mでした。 子どもたちに話すと、みんなびっくりしました。 「先生、うそじゃないの?」 「オーバーにいっているんじゃないの?」 と疑う子。 「調べてみる!」 という子。 反応はさまざまでした。 次の日から、家庭学習ノートに「くきについて」の作文が登場しました。 実物を張りつけてくる子もいました。 証拠があるのですから、これは確かです。 「けっこう長いね」 25〜30p級(なんか魚みたいですが)のたんぽぽが多く、50p以上のものはありませんでした。 ところが、たんぽぽ探検隊はついに50p以上の大物を発見したのです。
☆ついに見つけました。伝説の大物たんぽぽを! ちょっとオーバーですね。 でも、50pを越えるたんぽぽのくきは初めてです。 よく見つけました。
☆最後のところが、ちょっとわかりませんね。でも、ちーえさんが見つけたのも50pをこえています。 ちーえさんは、重要な問題を提起しています。 それは、「 ほとんどの人は、わた毛なのに、千慧のは花なんだろう」というところです。 こういう疑問を持つことが大切なのです(自ら学ぶ力の第一歩です)。
☆なんといっても題がいいですね。 あーきーくんが見たくきの長いたんぽぽは、種になっていたそうです。 ここが問題です。「種になっている」とは、どういう意味でしょうか。 考えてみてください。 しょーたくんも、このところ毎日たんぽぽについて書いてきます(あーきーくん、たーかくんもそうです)。
☆うーん、たんぽぽにも強いのと弱いのとがあるのかもしれませんね。 わた毛だったらくきが長くてもおかしくない、しかし、花なのにくきが 長いのはおかしい、しょーたくんは、このように考えたのでしょう。
☆くきの長さと栄養との関係を考えています。 このへんはつっこんで考えるとおもしろそうですね。
☆いくらくきが長くても、横になっていたらあまり意味がないかもしれません。 ゆーやくんは、次のように考えています。
☆おもしろい作文です。 どうしてくきを長くするのか みんなで考えましょう。 たんぽぽについて、多くの子が調べ始めました。 たんぽぽがわかるということは、植物がわかるということです。 これから、葉、くき、根、花など、少しずつ授業で取り上げていきたいと思います。 植物の生長を学ぶことは、自分の成長過程を学ぶことです。 成長する条件は? たとえば、種自身の力です。どんなに土がやせていても、種に力があればぐんぐんのびます。 反対に、力が弱ければ、どんなに土が肥えていても枯れてしまいます。 他にも、育て方の問題など、考えるべきことはいろいろあります。 水の上げ方一つとっても、難しいのです。 嫌々世話するのと、大事に世話するのとでは、またまた変わってきます。 子どもたちは、植物の生長を学ぶことにより、自分たちの成長過程を学びます。 私も、植物から学びたいと思います。 |