見方・考え方を育てる授業



 見方・考え方を育てる授業 


 今回、3つの授業を関連づけておこなった。
  1 視点を変える→ その人物になって考える。
  2 違う角度でものを見る→ 2つ以上の見方で見る。
  3 だれもが納得する言葉を使う

 1 視点を変える

信長になって作戦を立てる
  
 『長篠の戦い』の絵を見て氣づいたことを書かせた。100以上書いた子もいる。かなりつっこめるようになってきている。
 今回は、それをベースにパワーアップをはかる。
 
『織田信長になって、作戦を立てなさい。絶対に負けられない勝負です。どうしたら 勝てるでしょうか』

 課題を投げかける。
 予備知識として、武田軍は、諜報戦に破れたこと予備隊が動かなかったことなど、いろいろなことが重なって破れたことを教えた。
 子どもたちは、いろいろなことを考えた。
 
 出されたものをまとめてみよう。
 
●人を集める
 ・人を集める。
 ・おどして集める。
 ・力ずくで集める。
 ・懸賞を出す。
 ・人数をなるべく多くする。
 ・人数で圧倒する。
 ・ただし、弱い人を何万人集めてもしかたがない。
 ・弱い人は、すぐ逃げてしまう。
 ・全国にスカウトを送り、優秀な人を集める。
 ・強い人を集める。
 ・強い人でも、やる氣のない人はダメ。
 ・特に、鉄砲を撃つのがうまい人を集める。
 ・鉄砲を修理する人を集める。
 ・鉄砲を撃つのを教えるのが上手な人を集める。
 ・弓矢の得意な人を集める。
 ・力の強い人を集める。
 ・槍が上手な人を集める。
 ・斬り合いの得意な人を集める。
 ・頭のいい人を集める。
 ・作戦を考えるのがうまい人を集める。
 ・スパイするのが得意な人を集める。
 ・やる氣のある人を集める。
 ・修行を積んだ人を集める。
 ・いろいろな経験を積んだ人を集める。
 ・たくさんの敵と戦った人を集める。
 ・お金をいっぱい払って人を集める。
 ・武田軍につこうとする人を集める。
 ・すぐ裏切るやつは集めない。
 ・やる氣のないやつは集めない。
 ・武田の倍お金を出す。
 ・手柄を立てたものにはすごいほうびをやるといっておく。
 ・裏切らないように手を打つ。ほうび。
 ・武田のほうを、裏切らせる。
 ・武田の家来を自分の家来にしてしまう。
 ・敵を味方にするために、いろいろなことをする。
 ・仲間を増やす。特に、家康などの武将。
 
●金を集める
 ・金を集める。
 ・貿易。
 ・金山を見つける。
 ・いらないものを売る。
 ・農民に協力してもらう。

●いろいろな準備
 ・武田軍にスパイを送る。
 ・うその情報を流す。
 ・武器で有利な立場に立つ。
 ・いい銃を集める。
 ・いい刀、槍、弓矢などを集める。
 ・落とし穴を掘る。
 ・深い落とし穴を掘る。
 ・地面をでこぼこにする。馬が走りにくいように。
 ・いいよろいを開発する。
 ・軽くて丈夫なよろいをつくる。 
 
●訓練
 ・勝つために訓練する。
 ・弱い人も、鍛えて強くする。
 ・大将のいうことを守る。
 ・自分勝手にやっては勝てない。
 ・バラバラでは勝てない。
 
●戦法
 ・守りを重視。
 ・役割を決める。
 
●作戦
 鉄砲で勝負する。
 どうして鉄砲を使ったのか。
 ・相手と離れて戦える。
 ・100mくらい前から撃てる。
 ・離れて戦うということは、相手に攻撃されることが少ないということ。
 ・いちいち攻撃しなくていい。相手が来るのを待てばいい。
 ・守るだけでいい。
 ・無駄な犠牲者を出さなくてすむ。
 ・無駄な体力を使わない。
 ・ねらい撃ちができる。
 ・1発のダメージが大きい。
 ・騎馬隊のスピードに対抗できる。
 
 弱点も考えておく。
 ・雨の日には使えない。
 ・いちいち掃除しなくてはいけない。
 ・玉を入れるのに、20〜30秒かかる。→玉こめの時間を短縮する。
 ・連続で撃てない。→三交代で撃つ。

●作戦
 情報をえる。
 ・相手側の人数を知る。
 ・相手側の武器を知る。
 ・武将の位置を知る。
 
●作戦
 騎馬隊にストップをかける。
 ・馬のスピードを殺す。
 ・馬防柵をつくる。
 ・柵を二重にする・
 ・柵を三重にする。
 ・空ぼりを掘る。
 ・落とし穴を掘る。
 ・川を利用する。 
 ・川の水を利用して泥沼をつくる。



 2 2つの見方で見る

 算数編    『立体』真正面、真上から見た形

 ☆下の図のような立体の、真正面から見た形と真上から見た形について調べましょう。
 
 という問題である。
 図形は、四角柱、三角柱、円柱、三角錐、四角錐、円錐、球がある。
 まずは、真正面から見た図形が並べてある。それぞれ色が違う。
 
「これを見てください。オレンジ色の図形です(教科書を指さして)。これは四角柱 だと思います」
「私も四角柱だと思います」
「色を見てください。上の図で四角柱はオレンジですね。だから、四角柱だと思います」
「四角錐の側面を見てください。長方形になっていますね。この図形は長方形だから、四角柱だと思います」
「ぼくも、四角柱だと思います。側面が長方形で、真正面から見ると長方形に見えるからです」
 以下、同じような意見が続く。
『もし、すべての図形の色が同じだったらどうですか』
「色が同じだと、わからないです」
「円柱を見てください。正面から見ると長方形に見えますよね」
「でも、大きさが違うからわかります」
「私も、大きさが違うからわかると思います」
「でも、大きさが同じだったらどうしますか」
「四角柱か円柱か決められますか」
「ぼくは、決められないと思います」
「ぼくも、決められないと思います」
「四角柱も円柱も真正面から見ると長方形に見えます。だから、これだけでは決められないと思います」
「私もこれだけでは決められないと思います」
「角度を変えてみれば、わかります」
「17ページを見てください。上から見た図がありますね」
「上から見れば、四角柱か円柱かがわかります」
「私も、上から見ればわかると思います」
「真正面から見てわからないときは、真上から見るとわかると思います」
「次にいっていいですか」
「真ん中の緑の図形はどうですか」
「形は長方形ですね」
「さっきと同じように、長方形です」
「違うところはどこですか」
「真ん中に線が入っています」
「真ん中に線が入っているので、四角柱じゃないことがわかります」
「円柱じゃないことは確かです」
「私も、四角柱じゃないと思います。四角柱だったらせんが入りません」
 同じような意見が続く。
『ちょっと待って。もし四角柱を◆のように置いたら、真ん中に線が入って見えませんか』
「それは…」
「そうすれば見えるけど…、それじゃあ、真正面とはいえません」
「ぼくも、それは真正面じゃないと思います」
『だれが決めたんですか』
「…」
 しばしの沈黙。
「16ページの上を見てください。四角柱のところです。ここに真正面と書いてありますね。側面の長方形のところが側面だと書いてあります」
「ぼくもそう思います。先生の置き方は真正面ではないです」
 むっ、氣づきおったか。
「三角柱を見てください。三角柱の真正面は、とんがったところですね」
「話を戻します。四角柱と円柱は、真正面から見ただけではわからないんですね」
「大きさが違えばわかるけど、同じだったら区別がつかないと思います」
「真正面から見てわからないときは、どうしたらいいですか」
「角度を変えてみればわかります」
「上から見ればわかります」
「真上から見れば、すぐわかります」

 同様に、三角錐と四角錐もやる。
 
『今日やったことをまとめてみましょう』
 まとめを書かせる。
 発表させる。
「真正面から見ただけではわからないことがある」
「真正面から見ただけでわらからないときは、真上から見るといい」
「1つの見方で決めてはいけないということだと思います」
「私も、1つの見方ではわからないことがあるということだと思います」
「2つの見方をするということだと思います」
『1つの見方で判断してはいけないというのですね。日常生活の中から例をあげてみましょう』
「どんなものがありますか」
「髪が長い男の人は、後ろから見ただけでは男か女かわかりません」
「一平くんが堰八先生に間違えられましたね」
「あのころ一平くんは髪が長かったから、堰八先生は女の子だと思ったんですね」
 (例)
 ・塩と砂糖。→ちょっと見ただけではわからない。
 ・同じ服を着ている子。→服を見ただけではわからない。
 ・その人が怒っているところを見た。→それだけでは怖い人かどうかわからない。 ・双子。→見ただけではわからない。
 ・同じ大きさの箱の重さ→どっちが思いかわからない。
             小さくても重い物はある。
 ・にこにこしている人。→外見だけでは、わからない。
 ・机をふくとき、からぶきしたら終わるのではなく、さわって確かめる。
 ・片づけで、パッと片づけて終わらず、最後に確認する。
 ・漢字など書いただけで終わらず、確かめをする。
 ・答えを見て写すだけでなく、どうすればこうなるかを見る。
 ・料理をつくって終わるのではなく、味見をして確かめる。
 ・風呂を入れて終わるんではなく、さわって温度を確かめる。
 ・2つの方向で見るのが2つの目。
 ・一度で満足しないで、もう一度見る。
 ・自分で角度を変える。
 ・さわって確かめる。
 ・なめて確かめる。
 ・虫眼鏡で見る。
 ・よーく見る。

 まとめ
                      しょーた

 いろいろな角度から見よう

 算数でいろいろな角度からみるというのをやりました。
 例えば、真正面から見てわからなければ、見方を変えればいいということです。
 では、それを今日やった立体で例えます。

  図
       省略

 というふうに、色や印がないと見分けがまったくつきません。
 つまり、ただ見ても細かいところまでは見えなかったりそういうことです。
 それをどうすればいいか考えます。
 まず、自分がずれてみる。つまり、場所を移動するという方法があります。
 あと、自分でさわって見るという方法もあります。
 真上から見るという方法もあります。
 というふうに、真正面から見て見分けがつかなかったら、ずれれば、形の違いをくらべることもできるし、さわって確かめれば、見るだけじゃなくデコボコとか丸みとか角ばっている所があるのでわかります。
 これは、さわるだけど見るに入ります。
 あと、真上から見れば、この立体の場合、四角柱は、四角形、円柱は円の形に見えます。
 というふうに違いがわかります。
 この、「角度を変えてみる」というのはいろいろなことに活かせます。


 3 だれもが納得する言葉を使う

 理科編 『星』 星の動き

 北の空の星はどのように動いているか(教科書に出ている問題)

 ちょうどビデオがあったのでそれを途中まで見せる。
 左から右に動いているという意見が圧倒的に多かった。なるほど、向かって左から右に動いているのがわかる。
『ちょっと待って(ある子と向かい合う)。るいくん、左ってどっちですか。指さしてみて』
『私も指してみます』
 逆になる。とまどう子どもたち。
 このあと、話し合わせる。
 位置によって、左、右は変わってしまう、だから、この場合は使えないということになった。
 東とか西という用語を使ったほうがいい ということになった。
 だれから見ても、東といえばどっちの方向かわかるからである。

 まとめ
  ・説明するときも、このような言葉をつかうといい。
   だれもが納得する言葉を使うと説明がクリアになる。

 
 課題は、これら3つの見方をいろいろな活動に活かす ことである。

 この報告は、またの機会に。

 このように「ものの見方・考え方を育てる授業に取り組んでいる。

inserted by FC2 system