「基礎」の時間


基礎学力づくりの導入
基礎固め
10マス計算





    基礎学力づくりの導入
  
100マス計算 編

  ジーコ選手(サッカーの世界的プレーヤー)の話の中で印象的だったのが、
「基礎・基本が大切」ということです。
 当たり前といえばその通りですが、数々の実績を残した名選手の言葉だけに、説得力がありました。
 ジーコ選手は、鹿島アントラーズの選手でした。選手でありながら、チームの指導をしていたのです。
 「サッカーの神様」といわれているジーコ選手がどんなことを教えてくれるか、みんな楽しみにしていました。
 ところが、来る日も来る日も基本練習ばっかり。
「いい加減にしてほしい。そんなことはもうできる」
 アントラーズの選手たちは不満をぶつけたそうです。
 ジーコ選手は、あきれてものがいえなかったといいます。
「君たちは、『できている』といっているが、私から見れば、全然できていない。できているとしたら、どうしてゲームで活かせないのか?」
 
 選手たちは、観客をあっといわせる派手なプレイ、かっこいいプレイを教えてほしかったのでしょう。地味な基本練習が大切といわれても、よくわからなかったのです。「大切なのは基本。すばらしいプレーは、基本の応用にすぎない」
 ジーコ選手はいいます。
  

  基本
      まず    正確に
      次に    スピードをつけて
      3番目に どんな状況でもできる  

  

ように練習を積み重ねることが大切だそうです。

 これを聴いて、サッカーも学校教育も同じなんだなと思いました。

 
 計算力をつけるために、100マス計算を始めました。
 前段階としのような問題を出しました。


 1+1
 1+8
  1+4
 1+7
 1+0
 1+6
 1+3
 1+9
 1+2
 1+5 

「簡単だよ」
「かるいよ、こんなの」
 子どもたちはほっとしたようです。
 どんな難しい問題が出るかと思ったら、なんと、1年生の問題です。
 バカにするわけではないでしょうが、氣が抜けたことは確かでしょう。「先生は冗談を言っているんじゃないのか? と思った子もいるようです。
 「やってみましょう」
 さすがにすぐできました。
 「次はどうでしょう」
 1+の1を8にかえました。
 8+1,8+8、8+4というように、右側の数は同じです。
 今度はそう簡単にはいきませんでした。8+8、8+などでつっかえた子がけっこういました。
「これもできましたね。いよいよこれからが本番です。

「次は、同じ問題を10秒でやってもらいます」
「 ええーっ」
 ブーイングの嵐。
「できっこないよー」
「あれっ、さっき 、簡単だといったのはだれだっけ?」
「ええーっ」
「それではいきます。よーい、どん!」
 教室の空氣ががらっと変わりました。ぴーんと張りつめた感じです。
 子どもたちは真剣です。
 だれ一人しゃべる子はいません。

 できて当然の1年生の問題。しかし、制限時間があると…簡単な問題も難しい問題に変身します。

 結果は。どうだったでしょう?

 結果やいかに?悲惨すぎて書けません。
 問題は簡単なのですが、ぱっとはできません。まだ、使えるレベルまで到達していないのです。

 1週間くらい、同じ型の問題を練習させました。
 続いて、100マス計算に入りました。たし算・かけ算両方取り組んでいます。制限時間は3分です。
 100題を3分で計算する、かなりのスピードです。しかし、これはほんの序の口、まだまだ上のレベルがあるのです。
 4年生としては、2分切れたら合格です。
   前段階  3分を切る(合格)
           ↓
        2分を切る(本当の合格)
 全員、2分を切るレベルまでもっていきたいと思っています。決して、無理ではありません。歴代の杉渕学級では、全員が達成してきたのですから。
 今までで一番速かったこの記録は、43秒です。このときの子どもたち(2年生)は、3分の2が1分を切っていました。一番遅い子が1分20秒くらいでした。私も時々一緒にやったのですが、いつも、ビリから3番目くらいでした。いやはや、ものすごい速さでした。
 たっぷり練習時間があるので、2年生がどの学年よりも速くなるのだと思います。 
 最初は、3分切れる子は3人でした。
 しかし、一月ほど練習すると、ぐんぐん伸びてきました。
「先生、そんなの(2分を切ること)無理だよー」
といっていた子が、今は、1分20秒を切っています。
「1分を切ってやる!」
と、やる氣満々。頼もしい限りです。

 100マス計算は、他人と記録をくらべません。あくまでも、自分です。自分の記録を伸ばすことです。2分切れたら、本当の合格です。
 練習すればするだけ伸びます。自分の努力が形(この場合、タイム)となって表れます。

 それでは、子どもたちの記録を見てみましょう。(100マス計算、かけ算5月14日の記録です)
  ◎2分を切った子     12人
  ○3分を切った子     16人
  ●これから3分を切る子 5人

  1分台 ( 1:16, 1:18, 1:30, 1:31, 1:32, 1:33, 1:40, 1:42, 1:50, 1:55, 1:56, 1:56 ) 
  2分台 (2:00, 2:02, 2:04, 2:04, 2:06, 2:10, 2:10, 2:10, 2:10, 2:20, 2:20, 2:21, :25, 2:30, 2:35, 2:40 )

 ひと月前と、えらい違いです。
 子どもたちも、自分の進歩、友達の進歩にびっくりしています。
 家で練習してきた子は、ぐーんと記録を伸ばします。昨日より、30秒、40秒くらい速くなる子もいるほどです。
 昨日は、3分切れなかった子が、2分30秒を切るのです。すばらしい進歩だと思いませんか。
「すごい!」
「えーっ、そんなに速くなったの!」
 本人は、
「信じられない─────  やったー! 」

と、びっくりしたり、喜んだり。
 クラス中がわきました。
 
 自分の進歩を喜び、友達の進歩を喜ぶ  いいなーと思います。

 1分台の前半になった(1分30秒を切った)子は、ダブルに挑戦しています。
 みんなが100題やる間に200題やるのです。つまり、3分で200題やるのです。
 いやはやすごいスピードですね。
 
 たし算はどうでしょうか。
 なんと、かけ算より出来がよくないのです。
「かけ算は得意だけど、たし算はちょっと 」
という子が多いようです。
 先に習ったはずなのに。おもしろいものですね。


 基礎固め

 すべてに基礎となるもの。
 土台となるもの。

  土台の柱は?(例えば3本柱とか)

 つくるための方法は?
  1 毎日やるもの(くり返し徹底的にやる)
  2 その単元で集中的にやるもの
  3 子どもたちの生活につなげるもの

 これら3つを意識して、活動を組み立ててみましょう。
 
 
 姿勢
 (背筋を伸ばす)
 具体的にいきましょう。
 どうしたら、背筋を伸ばせるか
 背筋を伸ばす意味を教えましょう。

 例 足裏をぴたっと床に着ける。
   親指の付け根に重心をかける。
   背中に、1本線(柱)がはいったことを意識する。
   あばら骨を少し持ち上げるようにする。
   舌先を上あごにつける。
   瞼に力を入れる。
   唇をくっつける。
   お尻の穴をしめる(これは大事です)
   頭に本を載せ落とさないようにする。

 例えば、このような要素があるのです。「姿勢をよくしなさい」は粗すぎます。大きな言葉です。細分化して下さい。

 聴く からせまる方法もあります。

 書く
 (説明を書く)(5分間でまとめをかく)(自分の考えを書く)
 
 徹底的にやりましょう。さっきの分類でいえば1です。どの授業でも「5分間のまとめ」を書かせましょう。それを見て、アドバイスしましょう。見るのは大変ですが、その分子どもたちは力がつきます。

 テンポ
 すべてにおいて、テンポを意識して下さい。
  例 月曜日は、いつもより速いテンポで
    間を空けないこと
 
 その他
  教科書の出し入れ
  着替え
  給食準備の取りかかり
  チャイムが鳴ったと同時に行動
  授業も、すぐ始める。すぐ終える。

  
  10マス計算


 ◆10マス計算

 +  0937245861 
 
┏━┳━┓
┃+┃  ┃ 左のようなプリントを用意します。
┣━╋━┫ 
┃0 ┃  ┃ 升目は、1p方眼くらいがいいと思います。
┣━╋━┫ 
┃9 ┃  ┃ 私の場合、B4版でつくっています。
┣━╋━┫
┃3 ┃  ┃ 下の列が10列できるようにつくります。
┣━╋━┫
┃7 ┃  ┃ 0〜9の数字をアトランダムに並べます。
┣━╋━┫
┃2 ┃  ┃ 問題は、列によって変えてください。
┣━╋━┫
┃4 ┃  ┃
┣━╋━┫
┃5 ┃  ┃
┣━╋━┫
┃8 ┃  ┃
┣━╋━┫
┃6 ┃  ┃
┣━╋━┫
┃1 ┃  ┃
┗━┻━┛


 このやようなプリントをつくります。
 +のとなりには0〜9までの数字を入れていきます。
 たとえば、1を入れたとします。
 次のようになります。
┏━┳━┓
┃+┃1 ┃ 
┣━╋━┫
┃0 ┃  ┃ ここのマスには、1+0なので、1と書きます。
┣━╋━┫
┃9 ┃  ┃ ここのマスは、1+9なので10と書きます。
┣━╋━┫
┃3 ┃  ┃ 以下同様にやっていきます。
┣━╋━┫
┃7 ┃  ┃ 10題、10秒でできたら合格です。
┣━╋━┫
┃2 ┃  ┃ 教師は、タイムを計ります。
┣━╋━┫
┃4 ┃  ┃ 「1,2,3」とカウントします。
┣━╋━┫
┃5 ┃  ┃ できたら「はい」といわせます。
┣━╋━┫
┃8 ┃  ┃ 何秒と書かせます。
┣━╋━┫
┃6 ┃  ┃ 10秒切れない子は、何題できたか書かせます。
┣━╋━┫
┃1 ┃  ┃ 
┗━┻━┛      


 同様に、+の右に、2を入れます
 同じように、3〜9もやっていきます。

 +0,+1、+2くらいは、簡単にクリアできる子が多いです。
 しかし、+9になると、とたんにスピードが鈍ります。
 20秒かかってもできない子がいるかもしれません。

 1回目は実態調査
 0→1→2→3→4→5→6→7→8→9
 の順にやっていきます。
 全部10秒でできる子は、少ないと思います。

 次からは練習です。

 まずは、「0」だけをやります。
 全員が10秒切れたら「1」に進みます。
 以下同じように、「2」→「9」と進みます。
 ※「9」は計算のコツをつかめば速くできます。

  制限タイムは、実態に応じて変えてください。
  ただし、20秒以上にするとだれます。
  長くても20秒がいいと思います。


 わがクラス(6年生)は、現在、0、1、2、9をやっています。
 ようやく全員が、それぞれの段を10秒以内でできるようになりました。

  バリエーション

   40題連続…0、1、2、9を連続でやらせます。
         制限タイムは、40秒。
         速い子は、20秒くらいでできます。

   20題連続…9、9 を連続でやらせます。
         制限タイムは、20秒です。

  毎日、5分
  継続してやっていきます。
  0、1、2、9ができるようになったら、次は、8をやります。
  以下、7、3、4、5、6という順番でやっていきます。
  (順番は、変更可です)

  このようにして、全部の段10秒以内にできるようにします。


  これができるようになったら、100マス計算です。


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