一文解釈
     
短 歌
 

  一文解釈
          短 歌

   
 
  みちのくの母のいのちを一目見ん
  一目みんとぞただにいそげる
                     斉藤茂吉


   杉渕流の一文解釈の授業
   書く→指名なし発言→書く
   という形の授業である。
   
   「みちのく」
    東北地方のこと。
    仙台(茂吉の故郷は仙台だということは教えてある)。
    どうして、仙台とかかず「みちのく」としたのか。
    言葉を選んでいる。
    みちのくという言葉を選んだわけは?
   
   「母のいのち」
    茂吉は、大人か子どもか→大人
    どうして「母」ではなく「母のいのち」なのか
    母は、危篤である。
    もう、助からない。
    ずっと病氣だったのか。
    
   「一目見ん」
    茂吉は、突然知ったのか。
    前から、母の具合が悪いことを知っていたのか。
    生きているうちに会いたい。
    顔を見るだけでもいい。
    できたら、声をかけたい。
    母の声を聴きたい。
    何とか、間に合ってほしい。
    今、頭の中は母のことでいっぱい。
    今までの思い出が、どんどん出てくる。
    母との楽しかった思い出。
    やさしかった母。
    子どものころの記憶がよみがえる。

   「一目みんとぞ」
  
    どうして「一目見ん」としなかったのか。
    「見ん」をわざとひらがなにしたわけは?
    この「みん」を漢字にしてみよう。
    「観る」か?
    「視る」か?
    「診る」か? →これは、医者が診察するの「みる」
    「みる」は「看る」だろう。
    ただ顔を見るのではない。
    花を看病したい。
    体をさすってあげたい。
    汗を拭いてあげたい。
    食べさせる。
    話をする。
    声をかける。
    すべてが「看る」
    たくさんの「みる」があるから、ひらがなにしたのでは?

    「ただにいそげる」
    茂吉は、よく母に会っているのか。
    もう長いこと会っていないのか。
    電話で知ったのか。
    手紙か、電報か?
    ついにきたか…という感じか。
    突然のことか。
    知ったのは、いつか?

    茂吉は今どこにいるのか。
    会社、家?
    新幹線の中?(※当時はまだ新幹線がなかったことを教える)
    電車? 汽車?
    夜行列車という感じがする。
    東京に近いのか。
    真ん中くらいか。
    仙台に近いのか?
    茂吉は、列車の中で何を考えているのか。
    母との思いで。
    子どものころの思い出。



 
 
 夏のかぜ山よりきたり三百の牧の若馬耳ふかれけり 


 
 ・山よりきたのは、風か、若馬か?
 多くの子は、後者を選択した。
 ・夏の風のイメージ
  最初は、生暖かいというのも出された。
  涼しい、冷たい、さわやか
 ・今までは、暑かったのか。
  ここは、どこか。森の中か、草原か、牧場か。
 ・馬たちは、まとまっているのか。
  ばらばらか。
  歩いているのか、散歩しているのか。
  草を食べているのか、寝ているのか。

  などなど。
  イメージをふくらませていく。

inserted by FC2 system